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H2(ハル子とヒロ) (7)悲しい決意

ろま中男3 作品リスト
H2(ハル子とヒロ) 目次

H2(ハル子とヒロ) (7)悲しい決意

「…、聞くまでも、なかったよね」
黙ってしまったハル子に不安になったヒロは、ムリに笑顔を作ると冗談めかしてつぶやいた。

「そのこと、なんだけど…」
思いつめたようにうつむいていたハル子が、やっと重い口を開いて話し出した。
「ヒロは、まだ中学生でしょ…、これから、いろんな人との出会いが、きっとあると思うの…」
そこまで言ったハル子は、顔を上げてヒロを見た。

「…、だから?」
その先を聞きたくない気がしたが、勝手に言葉が出ていた。
「ヒロの前途ある将来を、私が縛るようなこと、しちゃいけない、と思う…」
真顔で見つめるヒロから逃げるように顔を伏せたハル子の悲しい声が暗い病室に響いた。その声は語尾がかすれていた。

「ハル子さん…、何言ってるか、わかんないよっ、なんで…」
別れの予感を振り払うように声を荒げたヒロは、うつむくハル子をきつく抱きしめたが、ハル子の目に光るモノを見てそれ以上言えなくなった。
「…、ヒロ、スキだよ…、でも、私たち、お別れした方が、いい…」
目に涙を一杯溜めたハル子が笑ってヒロを見つめた。頬に涙が伝う優しい笑顔が月明かりに照らされるのを見たヒロは、キレイだと思った。

ヒロの退院が近づくにつれて、ハル子はヒロとの将来を真剣に考えるようになった。

中学生のヒロとはもちろん結婚できない。じゃあ4年後、ヒロが18になったら…、6年後、ハタチになったら…。少なくともヒロ自身の意志で結婚するには6年待たなければならない。その時自分は26になっている。

ヒロのことは愛してるし、おなじくらい愛されている自信もある。ヒロが結婚できる年齢になるまで待つ自信だってある。しかしハタチといえば、大学2年生だ。それも順調にいったとしたらだ。学生結婚はヒロの負担でしかない。

それにヒロが自分と結婚するために大学進学をあきらめて、高卒で就職したら…、ヒロならきっとそうするだろう。自分の好きと言う気持ちだけで、将来のある若者の未来を狭めることはしたくない。ヒロの足かせのような存在にはなりたくない。

退院したらヒロと別れる、これがハル子の出した結論だった。

H2(ハル子とヒロ) (8) につづく
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