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== 女子校生由貴 ==

女子校生由貴 (112) エリの心配

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女子校生由貴 (112) エリの心配

「ひっ、うっ、…」
タダシが洋子と一緒に帰るのを見送った由貴は、涙が止められずにか細い肩を震わせていたが、
「…、由貴ちゃん、…どうしたの?」
エリに声をかけられて涙に濡れた顔を上げた。

うなだれた由貴を見かけたエリはポロポロと涙がこぼれるのが見えて、心配になって声をかけた。

「…、何でも、ううっ、無い、です」
心配して優しいまなざしを向けるエリの顔を見た由貴は、泣き顔を手で隠すとその場から立ち去ろうとした。
「まって、…先生とお話ししましょう」
背を向ける由貴のカバンを持つ手をつかんだエリは、興味本位の視線を向ける他の生徒から隠すように由貴の肩を優しく抱くと
「ね、行きましょう」
ふたりきりになれる生徒指導室に由貴を連れて行った。

「…、タダシ君と、…なにかあったの」
やっと泣きやんでうつむく由貴の隣に座ったエリが心配そうに声をかけると
「う、…」
美人上級生と帰るタダシを思いだした由貴はまた涙があふれてきた。震える手の甲を目に当てて泣き声をガマンして小さな背中を震わせた。
「…」
きっとタダシと何かあったに違いないが、少女の繊細な気持ちを傷つけたような気がして、
聞くべきではなかった、…。
エリは後悔した。泣き顔を見られまいと顔を伏せて悲しみに耐えるけなげな由貴に母性本能をくすぐられたエリは、震える背中を優しく抱いた。
「…、うっ、うううっ」
エリの柔らかい豊満な胸に顔をうずめた由貴は、優しく背中をさする手の温かさに声を上げて泣き出した。悲しい泣き声にもらい泣きして目を潤ませたエリは、由貴が泣きやむまで優しく抱きしめていた。

「…ごめん、なさい、先生」
やっと涙の止まった由貴は涙に濡れた顔に笑顔を作った。
「…、いいの、…落ち着いた?」
ムリに笑顔を作る美少女がたまらなくいとおしく感じてまた泣きそうになったエリだったが、努めて明るい声で応えた。
「…、うん」
エリの優しい笑顔に、由貴も自然に笑っていた。
「カワイイ顔が、台無しよ」
やっといつもの笑顔を見せた由貴に安心したエリは、ハンカチで涙を優しく拭き取った。優しい姉のようなエリに、由貴は照れたようなうれしそうな笑顔を見せた。

「…ごめんね、服汚しちゃった」
エリの胸にいだかれて泣きじゃくった由貴は、たっぷりした胸のブラをスケさせる涙に濡れたブラウスを見て申し訳なさそうに言った。
「いいのよ、…」
由貴のたよりない視線に泣き声にふるわされた乳房の感触を思いだしたエリは、女体を熱くする何かを意識していたが、
「ひとりで、帰れる?、送っていこうか」
タダシと何があったのか心配だが、そのことには触れずに優しい笑顔で見つめた。
「…、大丈夫、先生、ありがとう」
カワイイ笑顔を見せる由貴にまだ沈鬱なかげりを感じたが、エリは優しく笑ってうなずいた。

「先生は由貴ちゃんの味方だから…、私で良かったら、何でも相談してね」
お辞儀をして生徒指導室を出て行こうとする由貴に、やっぱり心配なエリは真顔で声をかけた。
「…、先生、ごめんね…、いつか、話すから」
本当に心配してくれるエリに心の揺れた由貴だったが、タダシとのただれた関係を話す勇気が出せなかった。申し訳なくてエリの顔が見られない由貴は、深々とお辞儀すると後ろ髪を引かれる思いで部屋を出て行った。

やっぱり、ムリにでも聞くべきだった?、…。
目を合わせようとせずに出て行った由貴の背中を見送った。
もう一歩踏み込むべきだったかも、…
思慮深そうな端正な横顔にカワイイ雰囲気を漂わせたエリは後悔していた。そして陰気そうな少年の顔を思い浮かべてタダシから直接話を聞こうと考えた。その思いつきのせいで由貴や洋子のように性欲異常者の慰み者にされ、悲惨な運命をたどることになるとはその時のエリは夢にも思わなかった。

女子校生由貴 (113) につづく
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