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== 交渉人涼子 ==

交渉人涼子 11話 (22)

裏ろま中男 作品リスト
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交渉人涼子 Negotiator Ryoko
11話 死なないで…、交渉人涼子よ永遠に (22)

ICUで医療器具のコードにつながれて、しかし挿管チューブを外されて自立呼吸する涼子の形のいい胸が静かに上下するのを、山田は黙って見つめていた。かすかに寝息を立てる涼子の顔が手術中より赤みが差していることに少し安心していたが、今夜がヤマ、という東条の言葉にまばたきさえしない決意で涼子を見守った。しかし涼子のきれいな寝顔を見ながら、山田の意識はいつの間にか妄想の世界に漂って、幸せな気分になっていた。無意識に涼子の顔に覆い被さって、手をつかむとふくらんだ股間に押しつけていた。

山田、何してるの、涼子のきれいな手が息子を圧迫するのを感じて、幸せそうなバカ面をさらした山田を、意識の戻った涼子の切れ長の目がにらんでいた。涼子の声に目を見開いた山田は、涼子先輩っ、と目に涙をいっぱい溜めてホントにうれしそうな顔でのぞき込んだ。だから、なにしてるの、山田のうれしそうな泣き顔を無視して、涼子は股間に押し当てられた手に視線を向けた。はっ、あっ、いやっ、これは…、涼子の冷たい視線を股間に感じた山田は被虐心を刺激されて、ますます股間をふくらませたが、大事そうにその手を布団の中に戻した。

まったく、あなたは…、呆れた口調で目線を反らす涼子に、そんなつもりじゃ…、スイマセンッ、平身低頭で謝る山田に、きっと私が死んでも、エッチなことするんでしょうね、山田の真剣な顔にちょっと照れた涼子は、スネたフリをして困らしてやろうと横を向いた。そんなっ、もう一度涼子の手を握った山田は、涼子先輩が死んだら、オレも死にますっ、枯らしたガラガラ声をはきだして、ぎゅっと手を握った山田は大事そうにその手を抱えてうつむきながら、肩を揺らして嗚咽を漏らした。

…、山田の血を吐くようなせっぱ詰まった声に一瞬素になった涼子は、涙がこみ上げてきて、横を向いたまま、痛いわ…、とつぶやいた。へっ、あっ、…ううっ、涼子の手を元に戻した山田は、まだ肩を揺らしてあふれ出る感情を抑えることが出来なかった。今度は、助けられたわ…、長いまつげの下の目尻から涙をこぼした涼子がつぶやくと、ベッドにすがってその場に座り込んだ山田が、…はい、と嗚咽混じりに応えた。ありがとう…、胸が熱くなって、取り乱しそうな自分を懸命に押さえた涼子は、それだけ言うと、目を閉じた。

声を殺して泣く山田をたまらなくいとおしく感じて、また涙がわき上がってきた涼子は、それをぐっと堪えてじっとしていた。…患者さんを興奮させちゃ、ダメですよ、その時ICUにサエコが顔を出して、子供を叱るような口調で山田を咎めた。あっ、はあっ、スイマセン、力なくたちが上がった山田をよけて、医療器具を点検したサエコは、順調ですね、と涼子に笑顔を向けた。涼子を気遣ってまだ涙の止められない山田を連れて行こうとすると、サエコさん、山田に手を出さないでね、サエコの短いナースコートをチラ見した涼子が横を向いたままつぶやいた。それだけ、言えれば、もう大丈夫ですね、サエコは呆れたように笑うと、山田を連れてICUから出て行った。

山田さん、今晩泊まるんでしょ、サエコが妖しく笑うと、はい、とやっと泣きやんだ山田が応えた。なんならもう一回、相手しましょうか、ナースコートのスソを指先でめくり上げて、腰のナマ肌を見せたサエコのエッチな笑顔に、一瞬ぽかんとした顔をみせた山田は、ダメですっ、ときっぱり断った。涼子先輩が全快するまで、エッチはしません、山田が真剣な顔で訴えるのに、苦笑したサエコは、もったいないオバケが出ちゃうかも、とイタズラっぽく笑った。なんですか、それ、山田が聞くと、この病院、いるのよ…、わざわざ髪を口にくわえて、胸の前で手をヒラヒラさせて幽霊のマネをしたサエコが、上目遣いに山田を見て笑っていた。

交渉人涼子 11話 (23) につづく
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