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== おっととしゅうと / しゅうとめとむすこ ==

おっととしゅうと (1)義父との同居

ろま中男3 作品リスト
おっととしゅうと 目次

おっととしゅうと (1)義父との同居

「お義父さん…、お昼ごはんですよ…」
昼食の支度をした志津枝は、義父である辻雄の書斎をのぞき込んで声をかけた。

「…、ああ…」
文机の前に座って本を読んでいた辻雄は、振り返ることなく気弱そうな声で応えた。

今日も、元気無いわ…。
哀愁を漂わせる小さな背中に、音がしないようにため息をついた志津枝は静かにキッチンに戻っていった。


夫の母静恵が突然亡くなって、四十九日の法要も終わった。

静恵は志津枝と同じ読みで、若い頃は顔も志津枝とよく似ていたらしい。同名で若い頃の母に似ている志津枝に興味を持った靖彦が交際を申し込み、ほどなく結婚に至った。

喪主として通夜や葬式で気丈な姿を見せていた辻雄は、初七日が過ぎたあたりからふさぎ込むようになった。

父のあまりの変わりようを心配した夫の靖彦が病院に連れて行くと、長年連れ添った妻を亡くしたショックによる老人性うつと診断された。

父の発病をきっかけにひとり息子である靖彦は、都内のマンションを引き払って郊外の実家に戻ることを志津枝に相談した。

結婚前から一戸建てに住むことが夢だと言っていた志津枝は、ただ広いだけの中古日本家屋に若干の不満はあったが、義父の面倒を他人任せにすることも出来ず、夫の提案を受け入れて義父との同居がはじまった。

仕事人間の夫が辻雄の面倒を見ることはなく、すべて専業主婦の志津枝任せだったが、うつ病特有の気をつけなければならないいくつかのことを除けば、普段は静かにしている辻雄の面倒をみることは、さほど負担ではなかった。


「いただきます」
しばらくしてから辻雄が食卓に着いた。不自然にならないように明るく振る舞う志津枝だったが、陰々滅々とした義父との二人きりの食事は、口には出さないがやはり気疲れする。

「しずえ…」
ぼそぼそとご飯を口に運ぶ辻雄がやっと聞こえるぐらいの声を漏らす。
「なんですか?」
自分が呼ばれたと思った志津枝が明るく応えると
「…、なんで…、死んだんだ…」
悲しそうな声がして、お茶碗に顔を突っ込みそうにうつむいた辻雄の顔から涙がこぼれていた。

お義母さんの…、ことか…、
うつむく義父を静かに見つめる志津枝はまたかと思った。この初老のうつ病患者はこうしてひどくふさぎ込むことがある。
あ…、なかったんだ…。
そういうときに励ましたりするのは厳禁で抗うつ剤に頼るほかないが、その日はちょうどクスリを切らしていた。

どうしよう?…。
ボロボロと涙をこぼす義父に何かしなければと焦った志津枝は
「おとうさん…」
義父に寄り添って肩を抱きしめていた。

「…、静恵?…」
肩に押しつけられた柔らかいふくらみに顔を上げた辻雄は、優しく笑う息子の嫁をしばし見つめると
「ゆ、ゆるしてくれっ…」
熟れた女体を抱きしめてさめざめと声を上げて泣き、驚きの表情を見せる志津枝の頬に涙をこぼした。

ええっ?…、お、義父さん?…。
たくましい腕に抱きしめられた志津枝はドギマギして戸惑ったが、男性に強く抱きしめられたのは久しぶりで、オンナの悦びの混じった高揚感を心のどこかで感じていた。

おっととしゅうと (2)につづく
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