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== 交渉人涼子 ==

交渉人涼子 5話 (15)

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交渉人涼子 Negotiator Ryoko
5話 新課長着任、愛の嵐 (15)

沢村が立ち去った後山田はしばらく様子をうかがっていたが、涼子がすぐに出てくる気配がないため特別班の自席に戻った。そして課長席にぼんやり座るヘンタイ野郎を認めて嫉妬混じりの怒りの炎を帯びた視線を向けた。そのあと涼子は戻ってきたが、その様子にいつもより元気がないように感じて、山田は自分をかばってくれたことに感謝し、涼子の気持ちに同調するように悲しみに沈んだ。

沢村は涼子の色っぽい姿を眺めながら、今度こそやってやると、卑猥な妄想をふくらませていた。しかしさきほどありったけの欲望をはき出した息子は、心持ちふくらんだ程度で全く元気がなく今は使いものになりそうになかった。今日はこの辺で勘弁しといてやる、と高学歴のキャリアは売れないお笑い芸人が言いそうなセリフを頭に浮かべて安っぽいプライドを保っていた。

涼子は自席に座ってこれからのことを考えていた。沢村が今後も涼子に理不尽な要求をすることは容易に想像できた。そしてその要求が続く限り二人の秘密は保たれる。沢村のいいなりになって涼子が奉仕していれば、自分も山田も今のままでいられる。しかし沢村の卑怯な要求にいつまでもいいなりになるなど、涼子にはガマンできそうになかった。一番いいのは沢村にいなくなってもらうことだが、キャリアの沢村に荒っぽいことは出来ない。それに沢村がいなくなったとしても、秘密が保たれる保証はない。何とかして沢村の弱みを掴むしかないように思われたが、頭脳明晰の涼子にしてもすぐにいい考えは浮かばなかった。

その日は特に事件らしい事件もなく一日デスクワークで終わり、珍しく定時あがりできた。涼子は定時になるとすぐに席を立ち、帰宅した。YZF-6Rの甲高い排気音を遠くに聞きながら、山田はあれ以来涼子と会話らしい会話が無かったことにすっかり落ち込んでいた。そして涼子のいなくなった席を眺めて、長居してもしょうがないと、帰る支度をしてしおれた様子でアパートに帰った。何か食べようとやかんを火にかけて、カップラーメンの包装をはがしながら、涼子が自分のために犠牲になってあのヘンタイに陵辱されたと思うと、どうしようもなく悲しくなった。お湯を注いだカップ麺を見つめながら、自然に涙があふれてきた。

交渉人涼子 5話 (16) につづく
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