ろま中男3 作品リストろま中男劇場 目次3ろま中男劇場 8.幽霊アパート (14)デカイ霊能者
「ちょっと、アナタ」
買い物に出掛けた雅美がその声に振り返ると、デラックス系の男オバサンが水晶玉を前にして座っていた。
「はい?…、私ですか?」
おっきい…、男?の人…、でも、なんかコワイ…。
自分の3倍はありそうな巨体に怯えた雅美がおそるおそる聞き返すと
「そうよ、アナタ、こっち来て座りなさい」
フードをかぶった化粧の濃い顔がこちらをにらんでいた。
なんだ、このバケモノは…、ヤバイ系か?…。
雅美とのお出掛けにご機嫌だった潤治も、幽霊の本能で力士並みの体躯からにじみ出る天敵な匂いを感じて警戒していた。
「なん、ですか?」
黒フードに黒マントという、いかにもうさんくさい出で立ちの男オバサンとはあまり関わりたく無い雅美だったが、有無を言わせない強引なオーラに負け、ミニスカのナマ足をキレイに揃えて座った。
「アナタ…、取り憑かれてるわねっ」
二重あごの男オバサンは雅美のカワイイ顔をヤブにらみすると、いきなり間違いないと言わんばかりに怒鳴り声を上げた。
「ひえっ、な、なんですか」
ひいんっ、きょ、きょわい…、逃げなきゃ?…、でも、取り憑かれてる、って?…。
大音量に若い女体をビリビリと震わされた雅美は、ミニスカを太ともに押し込んでいた腕のヒジをつかんで緊張していたが、とりあえず聞いていた。
「アンタ、悪い霊がついてるわよ、最近ヘンなコト、あったでしょ」
相変わらずのやぶにらみで迫ってくる男オバサンは、雅美にまとわりつく悪霊の存在を確信し、断定的な口調で問いただす。
やべ…、バレてるよ…。
こちらをジッとにらむ不気味な眼光に射すくめられた潤治は、自分の存在をあっさり見抜くこの男オバサンがただの巨デブではないと、不気味な恐怖に襲われていた。
「え?…、はあ…」
昨日のコト?…、でも、取り憑かれて、あんなコト?…。
それに対して霊感の全くない雅美は、この巨漢オバサンの言うことが全く信じられなかった。もし幽霊のたぐいに取り憑かれているなら超常現象的なコワイ目に遭いそうだが、昨日の出来事は生きている男のどうしようもないサガが引き起こしたコトであり、死者の亡霊とは関係なさそうに思っていた。
「お祓い、して上げるわっ、悪いこと言わないから、言う通りにしなさいっ」
まるで信用されてないことは承知していたが、霊能力に絶対の自信を持つ男オバサンはあくまでも強引な態度で迫っていた。
「そんな…、いいです、あの、失礼しますっ」
やだ、コワイ…、ヘンなコトしようと、してるんじゃ?…、早く逃げなきゃ…。
やぶにらみの目に淫靡な剣呑さを感じた雅美は、逃げだそうとして腰を浮かしたが
「待ちなさいっ、アンタのために言ってるのよっ」
水ぶくれしたような大きな手に腕をつかまれて逃げられなかった。
「すぐにすむから、そこに座りなさい」
強引に座らされた雅美は恐かったが、腕をつかむ強い力に逃げるのをあきらめて、男オバサンのタワゴトをしばらくガマンしてつきあうことにした。
やばいよ…、この男ババア、オレを雅美から引きはがすつもりだ…。
巨体からにじみ出るオーラの迫力に言いしれぬ恐怖を感じた潤治は、コイツなら霊魂の自分を雅美から引きはがしてしまうとあわてた。
そんなのゴメンだ…、やってやるっ…。
失恋した勢いでつい自殺してしまったが、女の子に対する未練を捨てきれずに現世にとどまり、20年目にやっと理想の女の子に出会ったというのに、昨日の今日で引き離されるなんてとうていガマン出来ない。潤治は一か八かで男オバサンに憑依していた。
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