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新人OL真里 (26)テツリンと真里

ろま中男3 作品リスト
新人OL真里 目次

新人OL真里 (26)テツリンと真里

真里はあわただしく朝食のあとかたづけをすると、軽く化粧をした。

ラッフルレース付きストッキングを太ももまではくとキャミの上に白いワンピースを着てエンジのジャケットを羽織る。ウエストのひとつボタンをするとウエストがきゅっと締まって、大きく空いた胸元を強調する。

ショルダーバッグを斜めにかけるとジャケットに合わせたエンジ色のハイヒールを履いて、部屋を出た。

ドアの前に市田が立っていた。

「…」
いかにもOL風の真里に浪人の市田は引け目のようなモノを感じた。しかし短めのスカートから、ストッキングの上に太もものナマ肌がわずかに見えるのに、息子がくすぐられるような色気があった。

「テツリン、行ってきます」
市田に笑顔を向けて真里は歩き出すと、
「…」
市田もついてくる。
「テツリンもでかけるの?」
うれしそうな笑顔を市田に向けた。
「…、駅まで送るよ」
市田は照れくさそうに言った。

「えっ…」
真里は市田の顔を見つめた。
「…うれしい」
市田の腕に抱きついていた。
「うん…」
市田もうれしそうに笑った。

真里は市田に寄りかかるように腕に抱きついていたが、
「手、つないで、くれない」
市田がぼそっと言うと
「あっ、ゴメンネ、…ベタベタしすぎた」
真里は離れて市田と手をつないだ。

「…」
真里がしょげているように感じて市田は視線を向ける。
「ん、」
視線を感じた真里は市田の顔に笑顔を向ける。
「…、違うんだ」
カワイイ笑顔にすまなさそうに目をそらす市田。

「…、なに」
真里は市田の顔を見つめる。
「たっちゃうから…」
「えっ、…」
「マリアン、の、…胸」
市田は恥ずかしそうに顔を伏せている。

「…」
真里は歩きながら市田の顔をのぞき込んで
「…、テツリンはあ、真里のお、胸にい、感じてえ、…、おチンコ立っちゃう…、ヘンタイ君っ、…、てこと?」
思いっきり甘えた声を耳元でささやいた。

「…!」
市田がばつが悪そうに真里をにらんだ。
「…」
真里も真っ向から市田の視線を受ける。

「ぷっ、…、ゴメン、ゴメン」
真里が笑う。
「天使みたいに魅力的で、セクシーな真里が…、ぜーんぶ、悪いんです」
笑いながら、イタズラっぽい視線を送る。
「うぬぼれるなよ」
市田も笑う。
「ふふっ…」
真里がつないだ手を大きく振って、楽しそうに歩いていく。

「ねえ、テツリン…」
真里は上目遣いに市田に視線を送る。
「うん」
市田が応える。
「…、マリアン、…って、やめない」
と照れたように言う。
「…、?」
不思議そうな、チョット不安が混じった表情がうかぶ。

「だって、…」
つないだ手を大きく振って後ろでとめると、上半身を伏せるようにして、顔だけ横を向いて市田を見上げる
「…、あん、…、って」
真里の目線が下がっていく。
「真里が、…、気持ちよくて、…、出ちゃった声だもん」
と視線を地面に向けて言う。

「…、ぷっ、はっはっはっ…」
反っくり返って市田が笑う様子に
「…」
顔を上げた真里が、
「…、テツリン、…きらい」
ホッペをふくらませてすねてみせる。

市田は真里の腰を引き寄せると、耳元で
「…真里、…、あんっ、…て、呼んでえ」
真里の口調をまねてささやく。

真里は鼻が触れそうなくらい顔を近づけてにらみつけると、
「…もお、いい、…ひとりで行くから、ついてこないで」
突き放すように手を振り払ってすたすたと歩き出した。

市田はすぐに追いつくと、
「ゴメン、ゴメン」
そっぽを向く真里に笑いながら、謝った。

すたすたと足早に歩く、真里の耳元に口を近づけて
「今後は、真里お嬢様、…とお呼びいたします」
まじめぶってささやいた。
「それなら、ヨシッ!」
真里は前を向いたまま強い口調で応えると、市田に照れくさそうに笑顔を向ける。

歩きながら真里は市田の手を掴むとチョット黙っていたが
「真里、って、…呼んで」
前を向いたままはにかんでいた。

そんな真里がかわいくて、見とれた市田は声が出なかった。
真里を見つめる市田に顔を向けた真里は
「ねえ、…いやなの」
チョットすねたように、伏し目がちな長いまつげの下の目が見つめる。

「…、いやっ、あの、…」
われに返った市田は真里の見つめる目にどぎまぎした。
「…」
前を向いて大きく息を吸うと
「真里、…、が、あんまりかわいくて、すぐに返事が出来ませんでした、申し訳ありません」
早口で言って今度は市田がカーテンコールのように、大きく腕を後ろにふって頭を下げた。

「…」
真里が立ち止まった。
手を引っ張られる形になった市田は振り向くと
真里がうつむき加減にはにかみながら笑顔を向けている。
「…」
真里のかわいらしさに、市田は歩行者信号のように大きく足を開いたまま固まっている。

「もう一回、…言って」
恥じらうように下に視線を向けた真里は市田の手を両手でつかむと、下半身に引き寄せるようにして言った。

市田が真里に近づくと指先が真里の下半身に当たった。下を向く真里に
「真里」
照れながら言った。
「えへへ、…、ハイ…」
顔を上げた真里は、花が咲いたように顔中で笑っていた。

「テツリン、いそごっ」
うれしそうな真里は元気よく歩き始める。

…、ばかっぷる…。
二人を見ていた通行人は、ただ呆れていた。

新人OL真里 (27) につづく
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