ろま中男3 作品リスト英語教師英梨 目次英語教師英梨 (10)逆恨み
○×大学前、…。
英梨が降りるバス停のアナウンスがして、バスは高台の学校を見上げる位置にあるバス停で止まった。
「あなた、附属高校なの?」
英梨に続いて少女もバスを降りた。どうやら方向も同じようだ。英梨は少女に声をかけた。
「はい、1年です」
少女はまたあのカワイイ笑顔で応えた。
「そうなの、私、今日からここで英語を教えるの、1年の担当だからよろしくね」
この少女が自分の生徒と分かって、英梨は彼女を痴漢から助けてよかったと思った。
「1年2組の榊洋子です。よろしくお願いします」
鞄を持った両手を赤紺チェックミニの股間に押し当てて軽くお辞儀する洋子は、自己紹介した。
「藤堂英梨です、洋子さん」
英梨もニッコリ笑って自己紹介した。
「産休の織田先生の、代わりですか?」
担当の先生と知って英梨を身近に思ったのか、さっきより打ち解けた態度で洋子が聞いてきた。
「そうよ、あなたひょっとして織田先生のクラスなの」
「そうです」
「じゃあ、私のクラスってことね」
実際の教え子を目の前にして、英梨は教師になった実感をかみしめていた。
「あの、先生のこと、エリせんせい、って、呼んでいいですか?…」
そんなエリの笑顔をはにかむような上目遣いで見る洋子が聞く。その様子がまた愛くるしい。まわりに誰もいなかったら英梨は洋子を抱きしめていたかもしれない。
断っておくが、英梨はレズではない。ただアメリカ生活の影響で挨拶のスキンシップが身に付いていた。嬉しいことがあるとつい抱きつくクセがあって、大学時代もよく男友達に抱きついてまわりをハラハラさせたものだった。
「いいわよ」
英梨は頬が紅潮するの意識しながら、笑って答えた。ただカタカナで呼ばれているとは思っていなかった。
「エリせんせい、ありがとう」
エリにすっかりなついた洋子は、ニコニコして学校に向かうゆるい坂道を歩いていた。
いい教師生活が、送れそう、…。
こんなカワイイ洋子が実は痴漢男と半ば仲間のクセ者だとは思いもしない英梨は、いたいけな少女を魔の手から救った好調な出だしに新しい生活の展望を明るく考えて、心の中でうれしそうにつぶやいていた。
よけいなコトしやがって、あのバカ女…、どうしてくれよう、…。
英梨が幸せな気分に浸っていた時、尾崎は屈辱的な想いに耐えていた。バスからほうほうの体で逃げ出した痴漢である。
しかもデカイ声を出しやがって、もうあのバスに乗れねえじゃ、ねえか、…。
少女のおしりをまさぐって幸せな気分に浸っている最中に、お節介な女にジャマをされただけでなく、バスに乗っていた乗客たちに自分が痴漢であることを大々的に宣伝されてしまった。
自業自得といえばそれまでなのだが、少女も納得済みのプレイを楽しんでいたつもりの尾崎は、エリを逆恨みして復讐計画を考えた。
その日の学校が終わって洋子が校門から出た時には、辺りはすでに暗くなっていた。季節はもう梅雨の時期で、湿気を含んだ空気がミニスカの絶対領域にネットリ絡んでくる。
はあっ、今日は、ついてないな、…。
バス停に向かう下り坂で洋子は小さくため息をついた。中途ハンパに痴漢された体がなんだかムズムズうずいて授業がほとんど頭に入らなかった。おかげで教師の課題に答えられずに、居残りで補修をさせられていた。
早く、行かなきゃ、…。
校門からバス停までの下り坂は急げば2、3分の距離だが、道の両側は林になっていて日が落ちると誰か潜んでいても分からない、ちょっと危険なゾーンだった。
なんか、コワイ…、えっ…。
何となく不穏な雰囲気を感じた洋子は早足になったが、その時突然林の中から現れた人影に後ろから抱きすくめられた。
「声出すと殺すぞ」
三つ編みの頭の上でドスの利いた男の声がした。
え、なに?…。
突然のことに何の抵抗もできずに洋子は林の中に引きずり込まれた。道から見えないあたりまで引きずられていくと、押し倒されていきなりキスされて口をふさがれた。たばこ臭い息が洋子の童顔にかかっていた。
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