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== 真央 ==

真央 (76)お出掛け

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真央 (76)お出掛け

「マオ、よくやった、服を着ろ」
ご主人様の目論見を見事に実現したセクサロイドマオは、沢村にほめられてうれしそうだったが、服を着ろという命令に反応したように恥じらって、はじけそうな若い肉体を両手で隠した。

「真央ちゃん、大丈夫?…、行くよ」
まだ絶頂の余韻に漂って意識のはっきりしない真央は、沢村がマオに服を与える様子をぼんやり見ていると、ダナ・キャランのちょっと大人っぽいフェミニンなセクシーミニドレスと高級そうなアクセサリーを渡された。

「あ、はい…」
沢村に連れて行かれたブランドメゾンでそれを見た記憶があったが、貧乏学生の真央にその価値はほとんどわからなかった。ようやく気持ちが落ち着いてきた真央は急に恥じらいの気持ちが湧き上がってきて、沢村の目を盗んでドキドキしながらあそこに触れてみたが、すでにマオがキレイにした後でサラッとした感触だった。

あ…、あんなのを…、はずかしい、…。
沢村に与えられた服を身につける真央は、マオも沢村から衣装を渡されてうれしそうに笑うのを見ていた。ただマオの衣装はいかにもコールガール風で、露骨にハデな色彩の上に女の魅力を強調して露出が異常に高かった。機械だとわかっていても自分と同じ顔をした女性のはしたない姿を見るのは、自分がそんな格好をしているようで恥ずかしかった。

「行こうか」
まだ、下着が…、どこ、に?…、や、いやらしい…、あ…、まって、…。
プラダのヒールを渡された真央は、部屋から出ようとする沢村の背中に下着をまだはいてないコトやどこに行くのか聞こうと躊躇していると、うれしそうに沢村の腕に抱きつくマオに嫉妬を感じて言いそびれてしまって、しかたなく黙ってついていった。

ベタベタしちゃって…、えいっ…、なんで!?…、もう…、やだ…。
エレベータでも沢村にニコニコまとわりつくマオに、内心おもしろくない真央は気を引こうとして慣れないセクシーポーズを見せたりしたが、全く無視されてますます落ち込んでいた。

「マオは、こっちだ」
地下駐車場に出て例の超高級外車の停めてあるところまで来て、指を鳴らしてトランクを開けた沢村に、ツーシーターで二人しか乗れないのでトランクに入るように指示されたマオは、ニッコリ笑ってお辞儀するとあくまでも可愛らしい仕草でトランクに入り込んだ。

いい気味…、やだ…、はあ…。
ナビシートを勧められた真央は暗いトランクに押し込められたマオに少し溜飲を下げたが、機械相手に張り合ってそんな風に考える自分に自己嫌悪して、また落ち込んでいた。

「どうかした?…、元気ないね」
え…、どうして、こういうときだけ?…、いや、もう…。
真央の心中などお構いなしでマイペースに見える沢村に声をかけられて、真央は自分の惨めな気持ちを悟られた気がして何も言えずに下を向いた。

「ちょっと時間かかるけど、いいよね、何かかける?」
エンジンをスタートさせた沢村は、しばらくV 型12気筒エンジンの震動を楽しむように柔らかいバケットシートに身を預けていたが、暖気がおわったのか滑るように地下駐車場から外に駆け出していく。

ふん…、はあ…、ふわあ…、うきゅう、…。
沢村の問いかけの意味も対して考えずに黙って外を見ていた真央は、今日この車を見かけてから起こった一連の出来事での緊張の糸が切れたのか、心地よいシートに包まれていつの間にかカワイイ寝息を立てていた。

真央 (77)につづく
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