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== 夏日 Ver.A ==

夏日 Ver.A (5)ケガの功名

ろま中男3 作品リスト
夏日 Ver.A 目次

夏日 Ver.A (5)ケガの功名

「それ…?」
郁子は思わず口走って指さしていた。言ってすぐに言うんじゃなかったと、後ろめたさを感じて慌てて手を引っ込めたが、ポケットを押さえた雅之のビックリしたような目が、郁子を見つめていた。
「…違う、…いいのっ、なんでもないっ」
雅之が見つめる目に郁子はうつむいて、また言わなくていいことを口走っていた。

「…」
エッチな気持ちが破裂しそうなほどふくれあがって、息子が痛いほど固くなっていた雅之は、ワンピースのスソをぎゅっと握ってうつむく郁子を、茫然と見つめていたが、郁子の言葉に変質者扱いされてバカにされた気がして
「帰るっ」
カッとなって立ち上がると部屋を出た。ふくらんだ股間が突っ張って歩きにくそうな雅之に
「待って」
郁子は焦って振り返ると、雅之の背中を追った。
「…、ゴメン、謝るから…、ねっ」
とりあえず謝ると、階段の手前で雅之のシャツの背中をつかんだ。
「なんで、郁子が謝るんだよ」
謝る郁子によけいに惨めな気がして、雅之が怒鳴り声を上げて振り返ると、シャツをつかんだ手に引っ張られて郁子が雅之の胸に抱きついていた。

どん、ごんっ、ごんっ、どかっ、…
振り返ってバランスを崩した体勢で、雅之は郁子の体重が支えきれずに、階段を踏み外して郁子を抱いたまま転げ落ちた。

「…、いったあ~い」
階下まで落ちた郁子は、あちこちぶつけて体中が痛かった。目を開けると目の前に雅之の顔があって、馬乗りになっている自分に気づいてあわてて離れたが、雅之はグッタリして動かなった。
「…、雅之っ、ねえっ、大丈夫っ?」
郁子は肩を揺すって必死に声をかけたが、返事はなかった。郁子をかばって抱きしめていた雅之は頭を打って意識を無くしていた。
「やだっ、死んじゃ、やだあっ」
すっかり気が動転した郁子は、雅之に抱きついて泣きじゃくった。ボロ泣きした郁子は溢れる涙で雅之の頬を濡らしていた。

このままじゃ、ホントに死んじゃう、…。
泣き顔を上げて真剣な表情を見せた郁子は人工呼吸を始めた。
「…あごを上げて、気道確保っ」
保健体育の授業で習ったとおりしているつもりの郁子は、まじめな顔で雅之の口に口を付けて息を吹き込んだ。
「…、はあっ」
実は郁子が泣きじゃくる声に意識の戻った雅之だったが、声をかけるタイミングを計っている内に、郁子が人工呼吸を始めて、ビックリして目を見開いた。

「…、ああっ、良かったあっ」
目を見開いた雅之が蘇生したと勘違いした郁子は、涙に濡れた顔をうれしそうに輝かせた。雅之もつられて笑った。
「ありがとな、郁子は命の恩人だ」
カワイイ郁子の顔を見ながら、柔らかい唇の感触を思いだして、雅之はニヤニヤしていた。
「…あっ、でもケガしてるっ、病院行った方が良くない?」
額の擦り傷を見つけた郁子は、急に心配そうな顔になって、雅之のニヤケ顔をのぞき込んだ。

「…こんなの、ツバでもつけときゃ、治るよ」
オレは昭和の子供か、と心の中でひとりツッコミしながら、雅之はツバをつけた指で額をなでていた。
「…、ダメだよ、バイ菌、入っちゃう」
雅之が照れたように笑うのに、郁子は真剣な顔でみつめた。
「だったら、郁子が舐めてくれよ」
冗談で笑った雅之に、
「…、うん」
まじめな顔で郁子が、カワイイ舌を出した。

「…、わっ、ばかっ、冗談だよっ」
迫ってくる郁子に一瞬見とれた雅之は、とめようして急に手を出した。胸に当たった手は柔らかい乳房に食い込んでいた。
「きゃっ、…」
モロに乳房を揉まれた郁子は、慌てて離れると両手で胸を隠した。顔を真っ赤にしてうつむいた郁子は
「…、じゃあ、バンソウコウ貼ってあげる」
いそいそと立ち上がって救急箱を取りに行った。

「…、座って」
恥ずかしくて雅之の顔が見られない郁子はうつむいて、視界のハシに雅之のふくらんだ股間があるのを意識的に無視しようとしたが、ドキドキしてよけいに顔が上げられなかった。
「…」
雅之は股間に視線を感じたが、隠すのもおかしな気がして身動きできずにいた。
「…、動かないでね」
顔を上げた郁子は、ひたいにバンソウコウを貼ろうと、火照った顔を近づけた。郁子は胸の鼓動に息苦しさを感じながら、遠くに雨の音を聞いていた。

夏日 Ver.A (6) につづく
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