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女医冴子 (63)久美とマリ

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女医冴子 (63)久美とマリ

「あっ、これは、ちがうの…、これは、ムリヤリ、つけられて…」
しまった、見られた…、きっと、こんなのを、つけられたことが、あるんだわ…。
診察台にすがって泣きじゃくる少女に、冴子は乱れた襟元を直してカップ無しSMブラの言い訳をしていた。久美のかたくなな拒絶に似たようなSM衣装を着せられて父親に弄ばれたコトがあるのだと、冴子は直感した。

「いやっ、近寄らないで、変態っ、うっ…、ああ…」
診察台に顔を伏せて泣きじゃくる久美はとりつく島もなかったが、急に気の抜けたような声を漏らすと静かになった。

「久美さん、大丈夫?…、落ち着いた?…」
大丈夫かしら…、また死にたいとか、言い出さなきゃいいけど…。
嗚咽が収まった少女が泣き疲れたと勘違いした冴子が優しく肩に手を置くと、
「せんせい、見た目もエッチだけど、中身も相当エッチだね…」
顔を上げた少女はカワイイ顔にふてぶてしい笑いをはり付けて、白衣のスソをめくってたるんだガータベルトに食い込んだペニパンをのぞき込んだ。

「やっ、だから、違うの…、コレは変な男に、ムリヤリつけられて…」
どうしたの?…、さっきまでと、雰囲気が全然違う…。
さっきまでの怯えた様子が全く見られなくなって態度のでかくなった少女に、冴子は戸惑いを隠せずに腰を引いてめくられた白衣を押さえながら言い訳を続けていた。

「いいの、せんせい…、セックス、気持ちいいもんね」
診察台に座って艶めかしく生足を組んだ少女はまだ成長途中の胸に手を当ててシナを作り、クスクス笑っていた。

「あなた…、久美さん?…」
おかしい…、もしかして…。
真逆の性格にキャラ変換した少女に冴子はある病名を思い浮かべた。

「ふふっ、久美ね…、あんなネンネと一緒にしないでよ、マリって呼んで」
ニヤリと擬音がしそうな生意気な笑みを浮かべた少女は、まだ幼さの残る脚線美を見せつける様にゆったり脚を組み替えると、自分をマリだといった。

「マリさんね…、よろしく」
解離性同一性障害だわ…、二重人格…、あるいはもっと別人格が、いるのかしら…。
別名を名乗る少女に冴子はDID(解離性同一性障害)を確信した。耐えきれないような現実に直面したとき、気を失ったりするのを解離といって正常な反応と見なされるが、別人格を作り出してきびしい現実を押しつけることで心を守ろうとする場合は、精神疾患とされる。他者の暴力に無力な少年少女期に発現するケースが多くみられる。

「まったく久美にも困ったものよね、私がパパの相手してやってるのに…、気がついたら手首切っちゃってるんだもの」
手首の包帯を見つめたマリは苦笑いしながら小さくため息をつくと、純真な久美の暴走に呆れていた。

「…、そうね、自殺は良くないわね」
ひょっとして、自殺しようとした久美を、マリが止めたのかしら…。
奔放な性格のマリだが、あるいは久美が自殺未遂で済んだのは彼女のおかげかも知れないと思った。

「ねえ、先生…、そんなのしてるぐらいだから、マゾなんでしょ…、私がかわいがってあげようか」
妖しい上目遣いでネットリした笑みで冴子を見上げたマリは、白衣の女体に抱きつくとTバックのお尻をまさぐって首筋に吐息を吹きかけていた。

「や、だから、違うから、あ、やめて、ああっ」
あ、そこ…、ああっ、だめえ…、あん、感じちゃう…。
背伸びしているようにも見える少女の妖しい手つきに翻弄された冴子は、乳首を指先で転がされる乳房の熱さにのけぞって切なげに体をくねらせ、ガーターストッキングの太ももを悩ましげにすりつけていた。

女医冴子 (64) につづく
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