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== 今日のネコ ==

今日のネコ (23)キモ男

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今日のネコ 目次

今日のネコ (23)キモ男

「…ケーサツに電話したから、すぐに駆け付けるわよ」
逃げ場のないネコは覚悟を決めるとブラフをかまして強がっていた。

「大丈夫だよ、その前に、想い遂げさせてもらうから…」
気持ち悪い笑い顔で迫ってくるキモ男を、
すぐにアキオが来てくれる…、ネコ、負けちゃダメ、…。
ギュッと唇を噛み締めてにらみつけるネコは、怖くて気を失いそうな自分を懸命に励ましていた。

「なあっ、オッパイ見せてくれよっ」
ケータイのカメラを見ながら男は手を伸ばしてきた。
「いやっ、触らないで」
ネコは手に持ったケータイでキモ男の手をはねのけた。
「ってえな、気取ってんじゃネエよ」
ネコにのしかかった男はジャージの上衣をめくり上げて、お腹のナマ肌を触りまくった。

「やだっ、変態っ、触るなっ、このペド野郎っ」
手足をバタバタさせて暴れるネコは、口汚く罵って声を出すことでなんとか自我を保っていた。
「うひっ、もっと、言ってくれえ、えへへっ」
言葉責めに興奮したキモ男は舌で口の周りを舐め回してベチョベチョにしてから、キスを迫って顔を近づけてきた。
「いやあっ、気持ち悪いっ、こないでえっ」
不気味な笑い顔が触れそうなほど近づいてきた。恐怖でどうにかなりそうなネコはギュッと目を閉じて必死に手をバタバタさせた。

その内の一発が偶然あごにクリーンヒットし、男は汚いシブキを口から飛ばして崩れ落ちた。男が声も上げずに倒れたので、ネコは脅威が去ったことに気付かずしばらく一生懸命手を振り回していた。

「…、やだっ、死んだの?」
チンにカウンターパンチを食らった男は脳震盪を起こしてベッドの横にだらしなく倒れ込んでいた。やっと男をノックアウトしたコトに気付いたネコは身動きしないカラダを怖々のぞき込んだ。
「ううっ、気持ち悪いっ」
撃退したゴキブリを処理するように、男の手を指先でつまんでパンストでグルグル巻きにしたネコは、部屋のすみで体育座りした自分のカラダを抱きしめてブルブル震えていた。

「来てやったぞ、やっぱりオレがいないと、寂しいんだろっ」
アキオは助けてメールを素直になれないネコの照れ隠しだと思って、まるで危機感のない声をかけて部屋に入ってきた。ネコからメールが来たことでアキオはすっかり機嫌を直していた。
「わあっ、こわかったよおっ」
土間で靴を脱ごうとするアキオにネコが抱きついていた。
「へっ…、なに?」
足にしがみついてワンワン泣きじゃくるネコの状況が理解できずに
なんか、たくらんでるのか…。
いぶかしむアキオは、部屋の中に転がる人間を見て
「ひっ」
思わず悲鳴を上げた。

「あれは、何?…」
気の抜けた声で聞いてもネコは泣くばかりで全く要領を得ないアキオは、ネコをその場に座らせるとおっかなびっくり男に近づいた。
「おいっ、大丈夫か?」
口からヨダレを垂らしたキモ男は肩を揺すっても全く反応が無かった。気を失っても不気味な笑いをはり付けた顔を見て、ネコが大学でキモ男の被害にあったことを思いだしたアキオは、やっと男が変質者だと気付いてケーサツに電話した。

「…ネコ、大丈夫か、何かされたのかっ」
泣きじゃくるネコの肩を優しく抱いて声をかけると、涙でぐしゃぐしゃになった目で見上げたネコは
「わああっ、怖かったよおっ、わあっ、大丈夫っ、ああっ、何も、うっ、されてない、うわあっ、アキオのばかあっ、」
バカはよけいだろ、…。
どさくさに紛れてバカ呼ばわりされたアキオは、しかし震える小さな背中をポンポンとやさしく叩いていた。

「…、無事で良かったな、良かった…」
ネコが無事で良かった、…。
震える少女のようなネコのカラダを抱きしめたアキオは知らずに目を潤ませていた。

しばらくすると近くの交番から警察官が駆け付けてきた。男が脳震盪を起こしているのを見た警官は救急車を手配すると、やっと泣きやんだネコの話を聞いた。

「…また話を伺うことになりますが、今日のところはゆっくり休んでください」
警官は一礼すると到着した救急車に運ばれるキモ男に付き添っていった。

「だけど、ひとりでやっつけるなんて、すごいな」
何とか落ち着いて座っていたネコに、アキオが感心していると
「怖かったのよ…、もう、なんですぐ来ないのよっ」
涙を拭いたネコは、癇癪を起こして暴れ出してアキオの胸をポカポカ叩いた。

「ああっ、ごめんなっ、…そうだ、なんか欲しいモンあるか?」
これだけ元気があれば、だいじょうぶだろう、と思ったアキオが聞くと
「…ドロリッチ、飲みたい」
甘えたネコは最近お気に入りのジュースの名前を口にした。
「わかった、すぐ帰ってくるから、ちゃんとカギしとけよ」
アキオはおじさんバイクにのってコンビニに走るとすぐに帰ってきた。

「…、おいしっ」
特製の太いストローをさして渡すと、一口すすったネコは伏し目がちに笑った。そんなカワイイネコの笑顔を見て安心したアキオは、PCを開くとケータイで取ったキモ男の目隠しした写真付きでブログに投稿した。

警察筋からの情報がマスコミにも流れて、翌日のネコのブログはアクセス数が一気に倍増して、ネコを励ます大量の書き込みがあった。

今日のネコ (24) につづく
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