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オレの子を産んでくれ (44)うまい朝食

ろま中男3 作品リスト
オレの子を産んでくれ 目次

オレの子を産んでくれ (44)うまい朝食

「セキュリティーコード、憶えてね」
エントランスのセキュリティにゆっくりとパスワードを入力した優子が、はにかみながらオレを見る。

「ここに一人で住んでるのか」
「うん…、ひとり暮らしは心配だからって、両親がセキュリティのしっかりしたところにしたの…、私、高所恐怖症だから、最上階なんてイヤって言ったんだけど…、そのほうが安心だからって、お父さんが勝手に決めちゃって…」
エレベーターに乗った優子は最上階のボタンを押した。狭い空間で二人きりの状況に緊張してるように見える優子は、それを紛らわそうとしてなのか饒舌だった。

「あんまり、おいしくないかも…、でも、一生懸命作るから」
最上階の彼女の部屋はひとり暮らしには贅沢すぎる広さだった。リビングに通されたオレは、
「優子の家って、金持ちなんだな」
キッチンで朝食を作り始めた後ろ姿の女性的な曲線をたどってぼんやり眺めながら、特に意味のないコトを口にしていた。

「そんなことっ…、お父さんは会社経営してるけど…」
ビックリしたような顔で振り返った優子は、オレの無駄口を否定する口ぶりで肯定していた。
「なんだよ、それ」
資産家の娘という境遇を恥じているような優子に、オレは思わず笑っていた。
「おかしい?…、変なコト言っちゃった、私?…」
オレの笑顔につられて笑った優子は、なんだかすごくカワイク見えた。

「いっぱい食べてね」
優子が作ってくれたのは純和風な朝食だった。グルメ気取りじゃないから詳しいことはわからないが、お味噌汁もちゃんとダシを取った本格的な味のような気がした。きっとお母さんの仕込みがいいんだろう。
「ああっ、うまいよ」
敦子の朝ご飯はパンだったのでこんな朝食は久しぶりだった。やっぱり日本人はお米のご飯だ、なんてオレはすっかり上機嫌だった。
「よかった、おかわりしてね…、うふっ、おいしいっ」
やっと安心したような笑顔を見せた優子は、一口味噌汁をすすって嬉しそうにつぶやいた。

「ああっ、うまかった」
食べ終わる頃を見計らって優子が煎れてくれたお茶をすするオレは、ずいぶん久しぶりな気がする満腹感で幸せな気分だった。
「おそまつさま…、あの、よかったら、おふろ、入る?」
後片付けをする優子は、恥ずかしそうにオレを見ながら風呂を勧める。

「いや、いいから、来いよ」
上げ膳据え膳で食欲を満足させたオレは、据え膳食わぬは男の恥でアッチの欲望を満たそうとしていた。
「うん…」
ニンマリ笑ったオレに、はにかんだようにうつむいた優子はオレに抱きつき、着やせするカラダを預けてくる。首筋に抱きつく優等生女学生のポッテリした唇から弾んだ吐息が漏れる。首筋を優しくなでて耳朶にこだまするうわずった息遣いが、オレのオスを昂ぶらせていた。

オレの子を産んでくれ (45) につづく
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