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== 大学教授美穂 ==

大学教授美穂 (60)女の幸せ

ろま中男3 作品リスト
大学教授美穂 目次

大学教授美穂 (60)女の幸せ

「一方、人間の寿命は」
「120年で尽きるという説もある」

黙って話を聞く真田の
腕に抱かれる安心感に包まれながら
美穂は話を続けた。

「生殖能力を失うのが50~60歳ぐらい」
「生物は生殖能力を失うのと」
「寿命が尽きるのがほぼ同時期なのが普通なのに」
「その後の生存期間が異常に長いのも人間だけよ」

「孫かわいがりは」
「人間の本能の発露と言えるけど」
「生殖能力を失って」
「生命として本来の目的を失った人間は」
「様々な価値を生み出すことに」
「生きる目的を見いだすことになる」

「少子化問題は」
「生命の存在意義に反する現象だけど」
「人間の生存期間が長くなったことにより」
「子孫以外に何かを残そうとする」
「後天的に人間に備わった本能が」
「子孫を残す本能を」
「凌駕した結果とも言えるわ」

「それは科学文明を発展させて」
「人間社会を快適にしてきたけど」
「生き物の本来の目的を」
「見失わせるコトにもなった」

「…、わたしはこの年まで」
「生物として根源的な本能に」
「逆らって生きてきた」
「男性を意識的に」
「避けて生きてきた」

「でもね、今日わかったの」
「それは生き物としていびつな」
「醜悪な生き方だと」

「本能に逆らって」
「本心を隠して生きるなんて」
「生き物として」
「自分の存在意義を否定することだと」

「赤ちゃんを授かったら」
「産もうと思うの…」
「それが人間として自然なことだから…」

思いの丈をすっかりはきだした美穂は
幸せそうな微笑を浮かべながら
小さく吐息を漏らした。

生きることの本来の目的に
目覚めた美穂から
内面的な女性的な魅力があふれて
慈愛に満ちた空気に包まれているのを
真田は見ていた。

素直な気持ちを吐露する美穂に、
真田は形容しがたい美を感じて、
ウットリと見とれていた。

「ボクの子…、ですよね」
美穂の言葉を反芻していた真田は
気持ちの奥にあるかすかな不安を
払拭する覚悟を決めて、
美穂をまぶしそうに
しかし真っ直ぐに見つめていた。

「そうよ…、アナタの子よ…」
優しい微笑が
かすかにはにかんだように笑った。

女の勘としか言いようがないが
美穂は真田の子を
授かったことを確信していた。

優しい笑顔はまさしく母の顔だった。

後藤の時には
妊娠は不安でしかなかったが
今の美穂は充実した気持ちで
幸せな空気に包まれていた。

大学教授美穂 (61) につづく
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