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== バア転生の秘薬 ==

バア転生の秘薬 (1)引きこもりの決意

ろま中男3 作品リスト
バア転生の秘薬 目次

バア転生の秘薬 (1)引きこもりの決意

「これで…、新しい人生が…」
毒々しい赤色の錠剤を震える指先でつまんだ隆平は、荒い息に震えながら額から汗をダラダラ垂らし、血走った目でソレを見つめていた。


丸川隆平は高校2年。しかし1年の6月から学校には行ってない。

隆平は大企業重役の親の見栄で入れられた一流高校のレベルに、最初からついていけなかった。

そして同級生女子グループからイジメられて登校拒否になり、1年以上引きこもりの生活を続けている。

1日中自室にこもる隆平の日課はネトゲとネットサーフで、ネットで仕入れたある分野の偏った知識はかなり豊富になった。

現実逃避する引きこもり少年はオカルトチックな方面に興味を持ち、今ではけっこうなオカルトオタクだった。

そこで得た知識の一つが古代エジプトのバア(魂)転生の秘法だ。

オカルトに傾倒したヒッキーは、ミイラに代表される古代エジプトの転生思想を、現代のオタクどもが歪曲したトンデモなアイデアにはまった。

まだほんの一部分しか知らない現実社会に絶望した16歳のガキは、来世の幸せな生活を夢見てネットでバア(魂)転生の実現方法を探し続けた。

そうしてやっと手に入れたのがバア転生の秘薬だ。おどろおどろしい雰囲気の怪しいサイトで50錠7万8千円だった。

来世に転生できればそれ以上は必要なく1錠あれば十分のはずだが、オカルトを本気で信じるヒッキーのおバカ特有の思考で、お徳用サイズというキャッチフレーズに惹かれて50錠入りを注文した。

それに親のクレジットカードが使い放題なので、お金には困らない。

こうして怪しい薬を入手したおバカヒッキーは、現世に別れを告げて輝かしい来世に旅立とうとしていた。


「先生…、さよなら…」
全身からダラダラ汗を垂らした隆平はフォトフレームに写した若い女性を見て、いよいよ現世との別れを決意した。

先生とは担任の加藤麗奈であり、ヒッキーオタが生まれて初めて好きになった女性だ。

不登校を直そうと何度か家庭訪問する麗奈の熱意を愛情と取り違えた勘違いヒッキーは、エロ妄想で美人教師を個人専属嫁にして、毎晩のオカズにしていた。

麗奈は現世で唯一の未練であり、隆平にとって麗奈との訣別は現世との訣別と同じコトだった。

「んっ…」
入学時のクラス写真から切り出して拡大した、ぼやけた写真を涙目でボケボケに見つめたヘタレヒッキーは、意を決してバア転生という触れ込みの怪しい薬を飲み込んだ。

バア転生の秘薬 (2)につづく
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