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短編 目次短編 (98)雨の夜の女(1)
…、その日はムシムシする暑い夜で、雨がシトシト降ってた…。
暗くした部屋でロウソクに横顔を照らされた鳥山紀夫が、平板な声で話していた。
…、そいつは、雨音の向こうから聞こえる波の音を聞きながら、暗い護岸を歩いていた…。
小倉忠義は紀夫の話を黙って聞いていた。閉め切った部屋のジットリした空気が肌にネットリまとわりつくようで、首筋に垂れる汗が不快だった。
…、ふと何かを感じてカサを上げると、街灯の下にたたずむ白い服の女が見えた…。
部屋の暗いすみに何かを見るように無表情に一点を見つめた紀夫は、沈んだ沈鬱な声色で話を続ける。
…、街灯の光でぼおっと浮かび上がった女は傘も差さずにずぶ濡れで立っていた。
濡れた髪は頭にペッタリ張り付き、顔も髪に隠れてよく見えない。
しかし雨に濡れた白い服がカラダに密着し、まるで裸のように女の艶めかしいカラダの線をあらわにし、胸のポッチが突き出しているのがそいつの位置からも見えた。
こんな時間に、女ひとり?…、
そいつは不審には思ったが、若い女の艶めかしい濡れた女体にスケベ心を出して、近寄っていった。
「ねえ、ナニしてるの?」
ほとんど身動きしない女は不気味な感じがしたが、濡れたセクシーなカラダによからぬ想像をしながら、そいつはニヤけた声をかけた。
「…、ないの…」
ささやくような女の声がした。
それは後ろから聞こえたような、頭の上から聞こえたような、目の前の女が発した声とは思えず、そいつはついキョロキョロしていた。
「それ…」
その声に前を向くと女は目の前にいた。
「ひっ」
そいつはビックリして腰を抜かしそうになったが、女が自分の左手を指差しているのに気付いた。
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