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SBY16 (1)邂逅

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SBY16 (1)邂逅

そのウワサを知ったのは、ネットのある書き込みだった。

ネットサーフで正体不明の怪しげサイトを見つけた。画像などの装飾はほとんどなく、黒を主体とした暗色系で怪しさ満載のサイトだったが、眺めていているうちにその告知を見つけた。

まるで見て欲しくないような目立たない場所に1行、「新宿、埼京線大崎行き、21時35分、3両目」とだけ書かれていた。

その書き込みのレスを展開すると何十件も書き込みがあり、「ありがとうございます」「極楽でした」「人生最高の幸せを味わいました」などに混じって、「絶対にヒミツします」「口外しません、約束します」などと書かれていた。

その怪しいサイトの書き込みに背徳の臭いを感じたオレは、その電車に無性に乗りたくなった。警戒心がなかったわけではないが、電車内という公共の場所で命の危険は無いだろうと高をくくっていた。

金曜の夜、いつもはしない残業をして時間を潰したオレは新宿に向かった。立ち食いそばで腹を満たしたオレは、9時ちょっと過ぎに埼京線のホームに立った。

3両目の8号車が止まるあたりで何本か見送り、周りを観察していたが特に怪しいコトはなかった。

空いてるな、…。
朝は大混雑する埼京線だが、この時間はそれほどでもなく閑散としているぐらいだ。

あ…。
9時半を過ぎていよいよだ思ったときに、コスプレ衣装のような女子校生がふたり、視界のハシに現れた。

麻里子と友美?…。
ブレザー制服風の衣装に太ももまであるニーハイの美少女二人には見覚えがあった。アキバの劇場からのし上がってきたあののグループの、セクシークイーンふたりだった。

電車がホームに滑り込んでくるとふたりはオレの前に立ち、チラ見した。その横顔はかすかに笑っているようだった。

先頭車両はガラガラだったが、なぜか3両目は朝のラッシュ時のように乗客を満載していた。ドアが開いても誰ひとり降りることなく、ふたりを迎え入れるように詰めてスペースが空いた。

若い女性が持つ華やかな雰囲気をまとったふたりが吸いこまれるように車両に入る。若いフェロモンに誘われるようにオレも車両に乗り込むと同時にドアが閉まった。

うおっ…。
ドアが閉まるのと同時に引いた波が押し返すように余裕はなくなり、背中はドアに押しつけられた。

柔らかい、…。
そして当然のようにカラダの前面は、ふたりの女体が柔らかく押しつけられていた。

いい匂い…。
目の前にショートカットとウェーブのかかったロングヘアの茶髪が並んでいた。柑橘系のコロンが鼻腔をくすぐる。髪が触れて顔をなでられる。ドアを背にして身動きできないオレは、夢心地でしばらくウットリしていた。

SBY16 (2) につづく
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