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== 鬼龍院サセ子探偵事務所 ==

鬼龍院サセ子探偵事務所 (1)鬼龍院サセ子登場

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鬼龍院サセ子探偵事務所 (1)鬼龍院サセ子登場

この世界には会ってはいけないたぐいの人間がいる。鬼龍院サセ子はその最右翼、というよりアブナイ人間のチャンピオンだった。サセ子さんと出会ったのはしつこく迫ってくるグルービーのひとりをあんなことやこんなことをして半廃人にした後だった。

「そこのボク、今、困ってるでしょ、お姉さんに相談してみなさい」
カバンに何十個目かの撃墜マークを刻んでいたところ、後から声をかけられた。

「…、間に合ってます」
なんだよ、年増のババアはお呼びじゃないよ、…。
振り返ると胸の谷間がヤケに強調された襟元がヤケに深いスーツ姿のナイスバディが立っていた。しかしオレは自分の年以上の女は問題外のロリコンのペド野郎なので相手にしなかった。

「年増のババアって思ったでしょ、でもセーラー服姿もイケテルってよく言われるのよ」
心を読まれたオレの頭はバカデカイオッパイに挟まれていた。
「あのねえ…、迷惑なんだよ」
読心術かと思ったが、うっとうしい弾力から頭を引き抜くとタプンタプンとこれ見よがしに巨乳が揺れる。

「いいのかなそんなこといっちゃって、妹さんが泣くことになるかもよ」
余裕綽々の笑みを浮かべるナイスバディの美女が、巨乳を強調するように下乳で腕を組んで手ぐすね引くようにオレを見ている。
「オレの妹…、へっ、何言ってんだか、オレは一人っ子だ」
「じゃあ、お父さんに聞いてみたら?」
「なにを…、え?…」
オレには妹はいない。にわかに馬脚を現した不思議美女を嘲笑していると、ケータイが差し出された。ケータイにはオヤジのケー番が表示されていた。

「父さん再婚した、一つ下の妹ができるけど、手、出すなよ」
それだけ言って電話は切れた。

「じゃあご紹介します、里美浩太君の一つ年下の妹さん、陽菜ちゃんですっ」
「陽菜です、お兄ちゃんよろしくね、でもお風呂のぞいたりしないでね」
ニコニコ笑うナイスバディ美女に背中を押されて前に出た美少女は、何故か白メイド服だった。

「陽菜、今日からよろしく、風呂はのぞかないけど着替えはのぞくから」
二枚目を気取って冷静を装っていたがオレは混乱していた。オヤジはお袋と別れてから二度と結婚しないと言ってたはずだし、そもそもなんでこの女がオレの名前を知っているのか、なんでこの少女はメイド服なのか。

「じゃあ、最初から説明するわ、お父さんはあなたの晩ご飯の買い物で通っていたスーパーでレジをしていた陽菜ちゃんのお母さんに一目惚れしてその場でプロポーズしたそうよ」
「二つめは愚問ね、私が里美君の名前を知らないわけがないでしょ」
「それから陽菜ちゃんは、母子家庭の家計を助けるためにメイド喫茶でバイトしてたの、でもお父さんがやめていいからって言ってくれたからやめたのよ、このメイド服は退職金代わりに貰ったんだって」

またまた混乱するオレの心を読んだナイスバディ美女は余裕の笑みを浮かべて三つの疑問に答えた。二つめに関してなんで知らないわけ無いのかわからなかったが、それ以外にもオレの疑問は解消されなかった。

「うふっ、私は鬼龍院サセ子、探偵やってるの」
「…」
そうですか…。
ニコニコ笑う巨乳美女は最後の疑問もあっさり解いてくれた。何から何までお見通しのサセ子サンに、オレの高校生活はメチャクチャかき回されることになる。

鬼龍院サセ子探偵事務所 (2) につづく
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