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ろま中男劇場 5.おっととおとうと (1)準一と希

ろま中男3 作品リスト
ろま中男劇場 目次2

ろま中男劇場 5.おっととおとうと (1)準一と希

「じゃあ、行ってくるよ」
「行ってらっしゃい」
新築らしいキレイな玄関で、希(のぞみ)はカワイイ笑顔を見せて夫の良彦を送り出す。希は去年の秋、良彦と結婚した。新婚生活は順調で幸せだった。彼が来るまでは…。

「おはよう…、義姉さん」
寝ぼけ顔の準一が希の背中に声をかける。準一は良彦の弟だ。義姉、義弟の関係だが、準一の方が1歳年上だ。春に大学に入学してから希のマンションに居候している。

「おはよう、準一さん…」
あ、やだ…。
振り返った希ははだけたパジャマの下に胸の素肌を見て、ドキドキして目をそらす。

「すぐごはんの用意するね」
へんな、想像しちゃ…、ダメ、…。
目を伏せたままはにかんで笑った希はパタパタとスリッパの音を立てて、足早にキッチンに向かう。

「あ…、ごめん」
すれ違った希の肩が準一の胸に触れて、準一が声をかける。

「え、あ…、ううん…」
や…、ちかい、…。
その声に顔を上げた希は間近に準一の胸を見て、胸の鼓動が高鳴るのを意識して慌てて顔を伏せると、すぐに準一の朝食の給仕をはじめる。

「ああ、うめえっ…」
出された味噌汁を眠気覚ましのコーヒーのようにごくごく飲んだ準一が、うれしそうにつぶやく。

「えへへ、そう…」
やん、カワイイ…、良彦さんもこんな風に、ほめてくれたらいいのに、…。
短大の家政学科を卒業した希は、うまいと言われてまんざらでもなさそうにうれしそうに笑う。

「すぐにお魚が焼けるから、チョット待ってね」
…、あ…、また、見てる?…、やん、はあっ…。
つかの間ドキドキを忘れた希だったが、準一に背を向けてアジの開きをコンロに入れると、準一が背後から見つめている気がしてまた胸が高鳴る。


希が準一と初めて会ったのは、夏に双方の家族で会食したときだった。その時の準一は髪がボサボサ、着ていたモノもヨレヨレで、きちんと着飾った両家の中でひとりだけ浮いた存在だった。

食事の間もほとんどうつむいたまま、準一は黙っていた。時々一人言を言っていたようだが、良彦の家族が無視していたので、希もあえてかまわなかった。

「期待してたんだけどな…、あれじゃね…」
帰りに妹の優希奈が準一をそう評して一刀両断していた。前の晩、弟がいると聞いていた優希奈は新しい出会いを期待してワクワクしていたようだが、実物を見てすっかり熱が冷めたようだ。

「そう…、緊張してただけでしょ」
たしかに…、でも、弟になるんだもん、やさしくしてあげよ…。
ワガママな優希奈に対して、おねえさんの希は面倒見のいい性格で、いつも優希奈に甘えられる立場だった。

あとで良彦に聞いたのだが、会食の次の日が全国模試で、ムリヤリ連れてこられた準一は食事を楽しむどころではなく、隠し持った単語帳を必死に暗記していたらしい。二浪していた準一は、来年の受験に備えて一番の追い込み時期だったようだ。


結婚式にはさすがにきちんとした身なりで来た準一だったが、幸せ一杯の希に準一など眼中になく、旦那様になった良彦だけしか見てなかった。優希奈も会食時点で準一を切り捨てていたので、新郎の友人関係にばかり目を向けていた。

良彦の親が援助してくれたおかげで、希は新婚生活を都内の平均からはずいぶん広めのマンションではじめることが出来た。まだ短大在学中の希はここから学校に通っていた。

新婚生活は幸せ一杯だった。良彦が会社に行っている間は、希も短大で卒業に向けて勉強し、良彦が帰る頃には、希は夕餉の準備を終わらせていた。


年が明けて希の卒業準備が一段落した頃、準一が受験のために泊まることになった。良彦からも義弟の受験がうまくいくように面倒を見てくれと言われていた希は、おねえさん気質を発揮して張り切っていた。

ほぼ2回目といっていい出会いは希にちょっとした衝撃を与えた。髪をばっさり切った準一はイケ面の好青年だった。夏の時点では当落ギリギリでかなり追い詰められていたが、そのときのガンバリのおかげで今回の受験にはかなり自信を持っているようだ。

都内の超難関校を数校受験する間、準一は希のマンションで生活した。良彦も準一に気を使ってなのか、準一がいる間は夜の生活を希に求めることはしなかった。

受験のない日、準一は部屋にこもって勉強している。卒業準備も終わって、あとは3月の卒業を待つだけの希はかいがいしく準一の世話をした。


ちいさな事件が最後の受験の前日に起こった。

「お昼ごはん、できたよ」
受験勉強する準一にあてがわれた部屋に希が声をかけると、ドタバタと騒がしい物音がする。
「どうかした?…、開けるよ」
不審に思った希が戸を開けると、床に転げ落ちたようにはいつくばった準一がいた。腰に手を当ててズボンをズリ上げた直後のようにも見える。

「なんでもないから…、すぐいく」
準一の顔には、まずいところを見られたという気持ちがありありと出ていた。
「うん…、じゃあ、キッチンに来てね」
それ以上詮索するのはなんだかいけない気がした希は、準一と目を合わせないようにして戸を閉めた。

そういえば…。
パタパタとキッチンに戻る希は、朝食後に洗濯をしようとして下着が無くなっていたことを思いだしていた。
まさか…、でも…。
受験勉強でたまったウップン晴らしに自分の下着が使われたかも、と頭に浮かんだ希だったが、証拠もないのに本人を問い詰めるなんてとても出来ないし、もしそうだとしても、そんなことで目くじらを立てるのは受験直前の準一には出来ないと思った。

しばらくして準一がキッチンに来た。希はなんだかドキドキして食事をかき込む準一の姿を見つめていたが、昼食を平らげると彼はすぐに部屋に戻っていった。

「はあ…」
なんだか拍子抜けした希は、小さく溜息を漏らした。

ろま中男劇場 5.おっととおとうと (2)につづく
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