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== 交渉人涼子2 ==

交渉人涼子2 1話(1)

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交渉人涼子2 目次

交渉人涼子2 1話 交渉人涼子、再び
(1)涼子の復帰

「耕太さんっ、…、しっかりしてっ、お願いっ、目を開けてっ」
粉雪が舞い散る中、山田の胸から鮮血が流れて真っ白な雪を赤く染めていた。涼子はかすかに白い息を吐く山田の傷口を押さえて、泣き声混じりの切ない叫び声を上げていた。

「…、涼子、さん、…、オレ、…死にたく、ない…、茉莉、ま…、り…」
力なく開けた目から一筋の涙がこぼれて、生気のない顔でグッタリした山田は青ざめた唇をそれきり開くことはなかった。

「やっ…、しっかり、して、…、耕太さんっ、耕太さんっ…」
山田が静かに目を閉じて血まみれの手で握った山田の手がだんだん冷たくなった。ふたりに降りつもる雪のようにだんだんと涼子の気持ちにのしかかる絶望的な気分を、打ち消そうとするかのように涼子は悲鳴に似た叫びで山田を呼び続けた。

話は数ヶ月前にさかのぼる。

産休で警視庁を休職していた涼子は元気な女の子を産んだ。イケメンアイドル顔の山田は自分に似ていると言い張ったが、涼子にそっくりのカワイイ赤ん坊は茉莉と名付けられた。涼子は自宅に山田を呼んで、しばらくふたりきりの甘い新婚生活を送っていたが、孫の誕生を機に長く海外生活を続けていた涼子の父は、銀行を早期退職して日本に戻ってきた。涼子の両親と4人暮らしになったが、明治時代から続く名家で資産家の涼子の家は4人でも広すぎるぐらいだった。

1年間は育児に専念した涼子だったが、両親は茉莉をそれこそ孫かわいがりして、目に入れても痛くないほど愛育して大切に扱った。涼子は我が子のように茉莉の面倒を見る母に、愛児を託す決心をして復職を決めた。娘が危険な仕事に復帰するのを両親は反対したが、結局ワガママ娘の意見が通って涼子の警視庁復帰が決まった。

山田は入籍時に涼子の家に戸籍を移して米倉姓になっていたが、仕事上は山田姓で通していた。家では耕太さんと名前で呼ぶようになっていた涼子も、仕事に復帰すると勤務時間内は部下として山田と呼んだ。ちなみに山田はというと涼子先輩をやめて涼子さんと呼ぶようになった。同じ部署内で結婚した場合、どちらかが異動になるのが慣例だったが、涼子はある高級警察官僚とのコネのおかげで異動することなく、元の職場に復帰した。表向きの理由は、涼子の交渉人としてのキャリアが重視されたための異例の人事、ということになっている。

特別班課長と笹野は健在で涼子の復帰を喜んでくれた。経産婦となった涼子だったが、そのモデル並みのスタイルは変わらず、逆に乳房はボリュームアップして、ますますダイナマイトボディに磨きをかけていた。

交渉人涼子2 1話(2) につづく
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