2ntブログ

== 大学教授美穂 ==

大学教授美穂 (63)微妙な空気

ろま中男3 作品リスト
大学教授美穂 目次

大学教授美穂 (63)微妙な空気

「なんですか…」
ご機嫌の真田はブリーフを引き上げると振り返った。

「ぷっ…、ズボンもはいて…」
パンツ一丁でニヤけた院生に
美穂は思わず吹き出していた。
「あ、そうですね…」
照れたように笑った院生は
急いでズボンに足を通した。

「それで、なんですか?…、美穂さん」
まだ上半身はだかのままで
着やせするしっかりした上半身を見せる真田は
美穂を促したが、
ウキウキしてつい軽口を漏らしていた。

「え…、あ、そうね…、喉渇かない?…、何か飲むでしょ…」
真田の明るい表情をチラ見した美穂は、
すぐに顔をそらしてシーツを巻いたまま
クローゼットからバスローブを出して羽織った。

「来て…」
やはり真田の顔が見られない美穂は、
背を向けたまま声をかけると寝室から出て行った。
急に沈んだ美穂を不審に思いながら
真田は後を付いていった。

「コーヒー、淹れるわね…」
ドイツ製のシステムキッチンでサイフォンを火にかけた美穂は、
しかし修羅場になるかもしれないと思って、
アイスコーヒーの準備をした。

「あの…、素晴らしいキッチンですね…」
「お料理なさるんですか?…」
美穂の表情が暗くなったのは、
美穂を名前で呼んだコトが原因だと思った真田は、
調子に乗りすぎたことを反省して、
丁寧な口調でお追従のようなことを言っていた。

「あ…、そうね、今日は材料無いから出来ないけど…」
「近いうちに作るわ、食べてね」
真田の口調が変わったのに、
気持ちが沈んでいることに気付いた美穂は、
なんとか笑顔を作って応えた。

「…、うれしいな、楽しみです」
美穂のムリした笑顔に、
真田は落ち込みそうな気持ちを
なんとか支えて明るく振る舞っていた。

「でも、あまりお料理は得意じゃないのよ」
「研究ばかりしてきた女だから…」
真田の気持ちが伝わってきて
ますます沈みがちな気持ちの美穂は、
つい否定的な言葉を口にしていた。

「そんなことないです」
「教授の料理だったら、何でもおいしいですよ…」
キッチン全体が沈鬱な空気で重苦しく感じた真田は、
カラ元気を振るった明るく応えた。
ただ美穂の名前を呼ぶことははばかれて、
他人行儀な呼び方をしてしまった。

大学教授美穂 (64) につづく
ブログランキング ケータイの方はこちらから
ブログランキングバナー1日1クリックご協力をよろしくお願いします。
関連記事
┗ Comment:0 ━ Trackback:0 ━ 17:59:41 ━ Page top ━…‥・

== Comment ==






        
 

== Trackback ==

http://aosaga9.blog.2nt.com/tb.php/1193-6b6d0d50
 
Prev « ┃ Top ┃ » Next